Cohen, Daniel, Trois leçons sur la société post-industrielle, 『迷走する資本主義─ポスト産業社会についての3つのレッスン』(2006=2009)

 

迷走する資本主義―ポスト産業社会についての3つのレッスン (社会思想選書)

迷走する資本主義―ポスト産業社会についての3つのレッスン (社会思想選書)

 

フランスを代表する経済学者であるダニエル・コーエンによるポスト産業社会に関するエッセー。

「ポスト産業社会」の異なる側面として、<サービス社会>への移行と<情報化社会:ニュー・エコノミー>への移行、そしてグローバリゼーションに注目して論を進める。

ニュー・エコノミーの特徴付けや矛盾、ヨーロッパ諸国(特にフランス)の変化、グローバリゼーションの異なる段階など、短いエッセーではあるが、おもしろい論点を含んでいた。筆者は、現在は「<社会と経済が分離する>新たな時代に突入」していると見ている。フォーディズムが衰退した今、各国が社会的団結を作り出すために文化的・政治的資産を動員しなければならない時代において、各国の違いは強烈に再浮上することになると述べる。

やはり、社会的統合や社会保障などの社会の問題について考えてみるときも、<生産のあり方>に目を向けることが大事なのだと思った。フォーディズムを基礎とした産業社会から、今の社会<ポスト産業社会>は大きく変化してしまったということを認識し、新たな社会的統合を、それぞれの社会が自らの歴史のなかで作り出さなければならないと感じた。