Joel F. Handler, "Social Citizenship and Workfare in the United States and Western Europe: The Paradox of Inclusion" (2004)
「社会的シティズンシップ」の観点から、アメリカとヨーロッパのワークフェア政策を検討。
- 作者: Joel F. Handler
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2004/04/29
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1 Introduction
2 The US welfare reform: "ending welfare as we know it"
3 The European welfare states
4 Workfare in western Europe
5 Social Europe: Alternatives? Solutions? Conclusions?
2章は、アメリカのワークフェア改革の話。
クリントンは、「我々におなじみの福祉制度を終わらせる」と1992年の大統領選挙の際に述べ、1996年には社会福祉制度改革を進めた。
アメリカの福祉制度の歴史が述べられ、ワークフェアだけではなく、なぜ、1990年代からワークファーストアプローチがとられたのか、アメリカの公的扶助制度は他のどのような制度とつながっているのか、が理解できた。
アメリカは、労働倫理がとても強い国。そして、公的扶助制度の核となる考え方は、援助に値する貧者("deserving poor")とそうでない者("undeserving poor")を明確に分けて、前者に焦点を当てる、ということ。
1996年の制度改革でワークファーストアプローチがとられるようになったが、ワークプログラムの対象となるのは、"deserving poor"。
そして、プログラムに参加しない者には、サンクションが与えられるようになった。
働く意思のある者を選び出し、プログラムに参加させる。
もし従わなければ、サンクションを与える。
・・・このシンプルに見える要求のなかに、いかに無数のフィールドレベルの判断が必要とされるか、政策決定者は何も理解していない。
アメリカでは、"civil citizenship"の考え方と比較して、"social citizenship"の考え方が希薄である、という。
ここで暮らしていて、それは実感する。