荒木龍三(文)・ゆゐ(絵)・豊中市社会福祉協議会(企画・監修)『発達障害の僕がホームレスになった理由』(2011年)

発達障害の僕がホームレスになった理由(わけ)―訓練、就労、そして再出発

発達障害の僕がホームレスになった理由(わけ)―訓練、就労、そして再出発

ホームレス日記
訓練日記
就労日記
再出発日記

発達障害で生まれ、ホームレスになり、訓練の後に就労に至った、筆者の自伝である。
筆者の荒木さんは、現在、大阪府豊中市社会福祉協議会によって運営されている発達障害者活動プログラム「びーのびーの」に参加し、再出発の準備をしている、という。

このような経験をした、当事者による手記は、貴重だと思う。

十分には整っていない文章。「読みにくくてすみません」とか、途中に書いてある。その分、筆者が語りかけているように思われる。

失踪中、私はいつも一人だった。一人忽然と姿を現し、現れては消え、そして今回のクライマックスもまた、誰の目に映ることのない一人舞台だった。
だから真実は、話さない限り誰にも分からず、予想だけで完全に当てることもできない。私だけが独占できる。独占してどうなるか。ある人は痛み・傷。またある人はそれを爆弾。そしてそれを封印したり、消し去ろうとしてしまうだろう。
けれども私は、これを・・・生かしてみたい。だから今、こうしてここに書いている。障害者の書いた、下手な雑記帳。しかし、同じような思いをした人は、きっといるはずだ。ここに書いたことはすべて真実である。数少ないであろう奇想天外なる体験の数々。
いつかまた詳細について、さらに語る時もくるだろうが、ここで一旦の区切りとしたい。常人が足を踏み入れぬ、日常をちょっと踏み外した先にあるこの空間。今はただこうして記録としてのみ残し、二度と連れて行かれることのないよう決意するのみである。(p.61-62)

荒木さんの病名は、高機能自閉症
このような障害を持っている人が、無理をせずに生きていける社会であらねばならない。
当事者も、まわりも、障害を理解し、受け入れる。
それができれば、もっといろんな人がが生きやすい社会になると思った。