Hao, Lingxin and Daniel Q. Naiman, "Assessing Inequality" (2010)

Assessing Inequality (Quantitative Applications in the Social Sciences)

1. Introduction
2. PDFs, CDFs, Quantile Functions, and Lorenz Curves
3. Summary Inequality Measures
4. Choices of Inequality Measures
5. Relative Distribution Methods
6. Inference Issues
7. Analyzing Inequality Trends
8. An Illustrative Application: Inequality in Income and Wealth in the United States, 1991-2001

「不平等を評価する」という本。2007年に同じ著者たちから出された"Quantile Regression" (Hao & Naiman, 2007)に続く本。

不平等を評価する際には、平均や分散の情報だけではなく、分布の情報を考慮しなければならない。そのために、ジニ係数やらエントロピー尺度やらがあるのだけれど、その定義や特徴、不平等尺度の選択の基準などをわかりやすく解説。

6章では不平等尺度の統計的推定、7章では多変量を考慮した際の不平等の要因分解などの解説があり、勉強になった。

7章で解説されているのは、quantile regressionを用いた、"model-based decomposition of income inequality"。
一般化されたエントロピー尺度（タイル尺度や平均対数偏差）などを用いた単純な要因分解（non-model-based decomposition of income inequality）と異なり、分布やその形状の変化などを考慮して、かつ一変量だけではなく多変量を同時に考慮して、不平等の要因分解が可能、ということ。

この元になっているのが、

Machado, J., and J. Mata, 2005, "COUNTERFACTUAL DECOMPOSITION OF CHANGES IN WAGE DISTRIBUTIONS USING QUANTILE REGRESSION", JOURNAL OF APPLIED ECONOMETRICS, 20: 445-465.

という論文。

こちらも読んでみたけれど、この本とは、結果の見せ方や分析方法が多少違っていて、よくわからなかった。
また時間をかけて読んでみよう。