山田荘志郎『ホームレス支援における就労と福祉』(2009年)

ホームレス支援における就労と福祉

ホームレス支援における就労と福祉

序章 本研究の背景と課題

第I部 ホームレス問題とホームレス対策に関する文献学的検討
第1章 ホームレス問題の現状とホームレス対策の動向
第2章 三つの側面からの先行研究の検討

第II部 「就労自立アプローチ」による施策に関する調査研究
第3章 「就労自立アプローチ」の動向に関する全国調査
第4章 A自立支援センター入所者調査―統計調査と事例調査

第III部 「福祉的アプローチ」による施策の現状と課題
第5章 ホームレス対策における生活保護行政の課題
第6章 生活保護によってホームレス状態を脱却した人々に関する調査研究―施設保護と居宅保護

終章 総括と提言―就労と福祉の複線的アプローチの構築に向けて

「就労自立アプローチ」と「福祉的アプローチ」の両者から、ホームレス対策の現状と課題を検討。

貧困研究の成果を参考にして、ホームレス問題を「関係性の喪失」という観点から捉え、ホームレスを「野宿から野宿でない状態へ」移行させ、ホームレス数を減少させることを第一義的な目的とする近年のホームレス対策を批判する。

筆者によれば、ホームレス対策に関する先行研究は、「就労自立アプローチ」と「福祉的アプローチ」、それぞれの不十分性を明らかにしている。ホームレス対策のあり方を構想するにあたっては、これらの論点をつなぎ合わせて、「就労自立アプローチ」「福祉的アプローチ」双方の施策の実態と課題を明らかにすることが求められる。本研究は、ホームレス対策のあり方を包括的に論じる点に特色がある。