Gallie, Duncan, Social Inequality and Class Radicalism in France and Britain, (1983)

 

Social Inequality and Class Radicalism in France and Britain

Social Inequality and Class Radicalism in France and Britain

 

Introduction

1. Social inequality and class radicalism

Part one Conceptions of class inequality
2. Class awareness and class identity
3. The conflict of class interests
4. Political power and class inequality
5. The national patterns

Part two Sources of proximate determination
6. The power structure of the firm
7. The influence of the trade unions
8. The influence of the political party
9. The power structure of the firm, the trade unions and the parties of the Left: discussion

Part three Elements of historical reconstruction
10. The revolutionary tradition
11. The agrarian roots of working-class radicalism: an assessment of the Mann/Giddens thesis
12. War and the crisis of legitimacy

Conclusion

 

この本は、イギリスとフランスの労働者階級の不平等に対する態度の性質と、その決定要因を探求している。

階級間不平等に対する態度は、イギリスとフランスの労働者階級では異なっている。その違いは、労働者階級を代表する政党の政治的志向性労働組合運動、ストライキの状況などに現れている。たとえば、イギリスのユニオンは経済的問題に集中し、現在の資本主義社会の構造を、漸進的かつ制度的に修正することを通して、かれらの目的を達成しようとする傾向にある。一方、フランスのユニオンは資本主義のイデオロギー的な批判に重点を置き、制度化された集合的交渉に身をゆだねることをより警戒する。労働者の態度に関しても、フランスではよりラディカルであり、イギリスではより穏当で現状追認的であると言われてきた。

労働者の態度を説明する理論としては、正統派のマルクス主義や産業化理論などがある。しかし、この2つの理論が共通して持つ問題は、労働者の態度の性質や決定要因に関しては、どの社会も同様の軌跡をたどることが想定されている点である。

この本では、イギリスとフランスという2つの社会を取り上げ、その文化的、構造的な差異に注目しつつ、労働者階級の態度の決定要因を説明することを目指す。これは、資本主義社会の理論を展開させる試みである。

筆者によると、フランスとイギリスの労働者階級の様々な違いが指摘されていたが、以前までは比較研究のために使用できる適切なデータがなかったという。そこで、筆者が実施したフランスとイギリスの石油産業の労働者へのインタビューデータと、国際比較データ(ユーローバロメーター)の再分析で、この課題に取り組んだ。

労働者階級のラディカリズムのパターンに対する企業の権力構造、工場の組合、主要な労働者階級政党が与える影響して、これらの理論のどれも、階級ラディカリズムの違いを適切に説明しないことを示す。最後に、フランスにおける労働者階級のラディカリズムの長期的で歴史的な決定要因を探求する上で、文化的影響や経済発展のパターンが鍵となることが示されている。