ノーマ・レイ(Norma Rae)

これは、1979年に公開されたアメリカの映画。

■監督:マーティン・リット
■出演者:サリー・フィールドノーマ・レイ・ウェブスター)、ロン・リーブマン(ルーベン・ワルショウスキー)、他。

舞台は、ノース・キャロライナ州のある町。
労働組合のない繊維工場で働く女工ノーマ・レイが、ニューヨークの全米繊維労働者組合からやってきたルーベンに感化されながら、劣悪な労働環境を改善すべく、労働組合運動を始め、会社の妨害行為を受け逮捕や解雇されながらも、奮闘するお話。

最初の労働者の低調な参加意識、低所得とあきらめ、能率アップへの抵抗、人種差別など、その当時のアメリカの産業労働者の雰囲気をとらえていて、おもしろいと思った。

その町では、その繊維工場が唯一の大きな企業で、ノーマ・レイは両親共々、その工場で働く。
きっと、彼女の子ども達もそこで働くことになるのだろう。
「組合に入ったから、逮捕されたし、解雇された。でも、私はあなたたちが働く工場をもっとよくしたい。」と子どもたちに話しかけるノーマ・レイの言葉が印象的だった。

しかし、事情がわからない者には、この映画の淡々とした記述では、「わからない」こともあるだろう。
なぜそこまでして組合活動に頑張るのか、会社からの妨害行為でもっと労働条件が悪くなったこともあり、おとなしく働いている方が、いいのに・・・など。

それは、私たちが、「労働条件を改善する」とか、「会社と闘う」とかいうことを思いつかないし、その必要性を感じることができない、そのような状況に慣れてしまっているからだと思う。

組合活動のために、寝食を忘れて働くノーマ・レイの姿。
彼女は「頭が悪い」と自分のことを言う。高い教育を受けてきたわけではない。しかし彼女にとっては、これまで生きてきたなかで、組合活動が「希望」だと、感じられたのだと思う。

ノーマ・レイの夫ソニーは「賛成しない」と言いつつ、ノーマ・レイを愛し、支えている。
彼女のやっている活動の「意義」について、彼は本当に理解していないのだと思う。
しかし、彼女の信念と内面の強さに、惹かれているのだと思った。


印象に残っているシーンがある。

ノーマ・レイのお父さんが体調が悪いなか休憩も取れず、職場で死んでしまうところ。そしてその後、組合活動が活発化したところは、なるほど組合の必要性やその認識が高まっていることがわかった。

それと、ノーマ・レイが、会社からの組合活動への「勧告」のチラシを写しとろうとして、取り押さえられ、「治安を乱した」という理由で解雇されるのはひどかった。表現の自由も何も、あったものではない。
労働者は奴隷ではないのだ。

プラカードに「UNION」と掲げて職場の仲間達に訴えかける姿は圧巻。