「ワーキングプア化する生活保護「自立」世帯―P市生活保護廃止世帯の分析」

桜井啓太・中村又一,2011,「ワーキングプア化する生活保護「自立」世帯―P市生活保護廃止世帯の分析」『社会福祉学』52(1): 70-82.

大阪府内P市で2006〜2008年度に就労によって生活保護が廃止となった世帯(就労自立世帯)を対象に、廃止時の所得水準・雇用形態について調査した論文である。

分析の結果、明らかになったことは、以下の通りである。

1.低所得と非正規雇用によってワーキングプア化する生活保護「自立」者
2.自立後も乏しい他の社会保障給付に頼らざるを得ない世帯の現状

現状の労働市場の状況を見れば、生活保護から「離脱」した人が、十分な収入を得て「安定した就業層」に至ることは困難であると、想像するに難くはない。
しかし、筆者らによると、「これまで生活保護廃止世帯についての調査や状況把握というのは官民共にほとんど行われていない」。

他の自治体に関しても、このような調査がなされ、生活保護受給者の生活や就労の実態が明らかになることが望ましいと思う。