「被差別部落出身の若者への地域就労支援事業に関する若干の考察」

フリーター問題研究会事務局,2004,「被差別部落出身の若者への地域就労支援事業に関する若干の考察―大阪府A市B地区について」『部落解放研究』(160): 33-47.

若者に対する支援が高く評価されている大阪府A市B地区を中心とした事例分析から、地域就労支援事業の成果と課題を論じている。

成果として、以下の4つの点が指摘されている。
第一に、コーディネーターは、若者にアルバイトなどを紹介する際、数ある求人のなかから事前にセレクトしたものを提示しているという点である。ハローワークなどとは異なり、面接やカウンセリングを通してニーズが把握されたうえで、最も適切な仕事が紹介されているので、若者は紹介された仕事を長く継続する傾向があるという。
第二に、委託訓練など、相談者のスキルアップを図るための支援がなされていることである。また、訓練は、職業能力を身につけるということを目的にするだけではなく、「とりあえず」参加することによって、自分がしたいことを考えるためにも、有効であるという。
第三に、地元と行政との連携がとられていること、そして第四は、部落内において緊密な人間関係が築かれていることである。

一方で、課題点として、相談者が増加している一方で、コーディネーターの数の不足していること、それに伴い労働時間が長期化し、また支援の際には相談者のメンタル面への配慮が欠かせないことから、コーディネーターには精神的なストレスが生じやすいことなどを指摘している。