橋本健二『階級都市―格差が街を浸食する』(2011年)

階級都市―格差が街を侵食する (ちくま新書)

階級都市―格差が街を侵食する (ちくま新書)

「格差」が問題視されるようになって、はや数年。ついに格差は、風景にまで現出してきた。小さな木造家屋が建ち並ぶ下町に、富裕層向けマンションが建設され、昔ながらの街の景観は破壊される。同時に、地域間の格差は拡大し、富めるものは富める地へ、貧しいものは貧しい地へと、振り分けられる。そして、「山の手」「下町」といった歴史的な境界線は、都市をより深く分断する。まさに「階級都市」の出現である。
本書では、理論、歴史、統計、フィールドワークなど様々な視点から「階級都市」の現実に迫る。

東京のなかの東北―序にかえて
第1章 風景としての格差社会
第2章 なぜ「階級都市」なのか―都市構造と資本主義
第3章 異国の風景―「下町」と「山の手」の言説史
第4章 進行する都市の分極化―統計でみる階級都市
第5章 階級都市を歩く
第6章 階級都市から交雑都市へ