沢田健太『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』(2011年)

「キャリアセンターは素人集団?」「就職活動生の保護者にかかるプレッシャーとは何か?」「企業が求める個性って?」「アンチ大企業の学生が増えている?」など、豊富な体験を通じて明かされる現代の就活事情。
学生から人事担当者まで幅広い層と触れ合う機会の多いキャリアセンターだからこそ把握している幾多の情報を今ここにぶっちゃける。

第1章 キャリアセンターの事情
第2章 採用する側の論理とテクニック
第3章 就職活動生はこう見られている
第4章 保護者は隠れた戦力である
最終章 あとがきにかえて―学生も企業もハッピーになるために

まさしく、「ぶっちゃけ話」である。面白い本だった。
キャリアセンターのことだけではなく、企業の選考の問題、学生や保護者の問題も取り上げる。
ただ、「キャリアセンターのこと」を書いている、というよりは、「キャリアセンターの職員として感じていること、見聞きしたこと、考えたこと」を書いている、という印象。

筆者は、「新卒一括採用」が悪者だとは思わない(p.124)という。
この仕組みがなくなり、「日本に大勢いる、目的はないけれどどちあえず大学生となった人たちが就職活動も自由となったときに、自由の恩恵を受けるのはごく少数で、自由に振り回されてしっちゃかめっちゃかな人生になるほうが多数ではないか」と。問題は、学生と企業の間に業者が入ってしまい、互いの顔が見えなくなってしまったことだという。

個人的には、キャリアセンターに期待している。キャリアセンターの職員は、企業、学生、大学の事情に精通して、学生がだまされないように適切な情報を与えることが必要だと思う。
それは過度な要求かもしれない。人材育成の問題もあると思うが。