Nee, Victor and Sonja Opper, Capitalism From Below: Markets and Institutional Change in China, (2012)

Capitalism from Below: Markets and Institutional Change in China

Capitalism from Below: Markets and Institutional Change in China

1. Where Do Economic Institutions Come From?
2. Markets and Endogenous Institutional Change
3. The Epicenter of Bottom-Up Capitalism
4. Entrepreneurs and Institutional Innovation
5. Legitimacy and Organizational Change
6. Industrial Clusters and Competitive Advantage
7. The Development of Labor Markets
8. Institutions of Innovation
9. Political Economy of Capitalism
Conclusion

共産党指導下の社会主義的経済制度のもとで、中国政府の経済政策は保守的なものにとどまり、民間企業を主要な経済エリアから閉め出し、必要な資源や保護を与えなかった。
それにも関わらず、「中国で、民間企業の経済と資本主義制度が現れたのはなぜか?」というのが、筆者らの主要な問い。この問いを解明するために、ネットワークのなかに埋め込まれた社会的メカニズムに注目。

長江地域の700の製造業企業を調査して、中国の民間企業経済は、「下からふつふつと煮え立ってきた(bubbled up from below)」ことを示す。
トライアンドエラーを通じて、起業家達は、確立された経済秩序から自らを分離し、民間の小さい製造業企業をスタートさせ成長させるための制度的イノベーションを考案した。政府による参入障害があったからこそ、彼らは自分たちの供給と流通のネットワークを打ち立て、組織された産業クラスターにおける競争優位性を勝ち取ってきた。同じ志を持つ均質なグループを形成することで、融資を提供し、信頼できるビジネスの規範を打ち立てることができた。

厚みのある本ですべては読み通せていないけど、面白い本だと思った。6年間の研究の成果、らしい。

この本による知見は、他の国における経済の発展(あるいは衰退)に対して、どんな示唆を与えるのだろうか?