伊藤実・金明中・清水希容子・永久寿夫・西澤正樹 『地域における雇用創造―未来を拓く地域再生のための処方箋』(2008年)

地域における雇用創造 ~未来を拓く地域再生のための処方箋~

地域における雇用創造 ~未来を拓く地域再生のための処方箋~

  • 作者: 伊藤実,金明中,清水希容子,永久寿夫,西澤正樹
  • 出版社/メーカー: 雇用問題研究会
  • 発売日: 2008/06/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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地方自治体による人材育成、資源活用、情報発信への支援、連携。

第I部 地域雇用の現状と推移
第1章 地域格差の拡大
第2章 製造業の雇用インパク
第3章 地域における雇用創造類型

第II部 地域における雇用創造の構想と実践
第4章 熊本県の取り組み―産官学による戦略的企業誘致
第5章 青森県の取り組み―優秀な人材供給による企業誘致
第6章 北海道芦別地域の取り組み―「国際中堅企業」の地域雇用創造
第7章 福島県会津地域の取り組み―産学官連携によるITベンチャー企業の雇用創造
第8章 山形県長井市の取り組み―企業城下町かたロボテク・シティへの進化に挑む
第9章 神奈川県三浦市の取り組み―既にあるものを有機的につなげて新産業を創る
第10章 長野県原村の取り組み―地域の「魅力・資源」を活かした活性化・雇用創造

第III部 地域雇用創造政策と成功要因
第11章 地域産業・雇用政策の変遷
第12章 地方分権化の産業・雇用政策
第13章 パッケージ事業における地域雇用創造
第14章 地域雇用創造の成功要因

日本における地域雇用政策の変遷と現状が説明され、特徴的な地方の取り組みが紹介されている。

14章では、「地方雇用創造の成功要因」として、(1)戦略的企業誘致、(2)優秀な地元人材の供給、(3)外部人材の活用、(4)産官学の連携が指摘されている。

(成功事例のうち)いずれのケースも従来の巨額な地方交付金等の財政支援を利用して大規模施設を建設するといった「ハコモノ行政」とは一線を画している。
国と地方の借金が膨れ上がって財政危機に直面している現状においては、「カネ」よりも「チエ」を活用して、身の丈に合った地域再生を企画・立案し、実行することが重要である。

「カネ」よりも「チエ」を活用するためには、人材の活用が不可避である。そのためには、地方自治体も地域再生の専門家を内部育成する必要がある。・・・さらに、人的資源に限界のある地方自治体は、積極的に外部の専門家や人材を活用すべきである。(p.268-9)

ただ、雇用創出、人材育成、就労支援といっても、技術者などの高度人材を対象にするのか、就職困難層を対象にするのか、ということで大きく違いがあるだろう。この本は、主に前者をターゲットとしているようである。